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ときめきにリボンをかけて君に贈ろう

あの子はひとり空を眺めていた
そよそよと吹く風を気持ちよさそうに受けながら
僕は不思議な気持ちで見つめていたんだ

ある日僕は友だちのトキと紫音さんのアンティークショップに行った。
そこであの子と再会したんだ。
不思議な本と出会った僕たちは、紫音さんの言葉で本の中の世界へ吸い込まれていったんだ。

そこで出会ったのは赤い頭巾の少女だった。
オオカミのたくらみで道に迷った赤ずきんちゃんと共に僕たちは森のお菓子屋さんに行った。
そこには大きな猫(パンダ~大熊猫~)がいたんだ。

お菓子で太らせて食べようとするオオカミの仲間のパンダのせいでぽっちゃりになった僕たちは
おばあさんを助けるために重い体をふうふう言いながら引きずって急いだよ。
方向音痴のオオカミが迷ってるすきに
なんとか一足先におばあさんのところへ着いた僕たちは、猟師さんに助けを求めた。
そこへ遅れてやってきたオオカミは、弓矢を突き付けられてあっけなく降参したんだ。
僕は誰も傷つかなくて良かったと心から思った。
気が付くとそこはいつものアンティークショップだった。
紫音さんは微笑みながらお茶の用意をしていた。
僕たちは誇らしげに笑った。

あの不思議でわくわくするような出来事は、まるで夢の世界のようだった。
そして僕たちは前よりも仲良くなったような気がするよ。
彼女は、相変わらず屋根の上で空を眺めている。
そんな時は、やっぱり声をかけられなくて僕は遠くから見ているだけなんだ。
いったい何を想っているんだろう・・・。
私は空を眺めてる。
風が優しくほほを撫でていくわ
ここでこうしている時は、とても幸せな気持ちになるの。
だって
空に浮かんでる雲がふわふわした綿菓子みたいでとってもおいしそうなんだもの。
※ゆみこ作「ときめきにリボンをかけて君に贈ろう」より抜粋
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